【11月12日 AFP】男子テニスのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、世界ランク1位の奪還に加え、ATPワールドツアー・ファイナル(ATP World Tour Finals 2016)で通算6度目の優勝を飾り、懐疑的な人々を黙らせることを目標に定めた。

 ジョコビッチは、成功への欲求を失ったと批判されるまれな状況で、ツアー・ファイナルが行われる英ロンドン(London)のO2アリーナ(O2 Arena)を訪れた。

 6月に全仏オープンテニス(French Open 2016)を制し、四大大会(グランドスラム)全制覇を遂げた後、ジョコビッチは不可解なスランプに見舞われ、122週間続けて君臨していた世界ランク1位の座を先週末アンディ・マレー(Andy Murray、英国)に明け渡した。

 それでもジョコビッチは、ツアー・ファイナルで5連覇を達成すれば、より前向きな状況で2016年を締めくくれる。今大会で優勝すれば世界1位の座を再び手にすることに加え、ロジャー・フェデラー(Roger Federer、スイス)が持つ大会歴代最多6度の優勝という記録に肩を並べることもできる。

 11日にロンドンで会見に臨んだジョコビッチは、「結果に対する高い水準が少し影響を与えた。全仏のあと、高いレベルで戦うために素早く持ち直すことができなかった。信じられない成果だったから、時間をかけてじっくり自分と向き合ったりしなければならなかった。再び軌道に乗るのに時間が少しかかってしまったけれど、全体的には良い1年だった」と語った。

「(今年の)数か月間は良かった。1年か、1年数か月前の水準にまでは達していなかったけれど、スポーツ界では常に勝利を見込むことはできない。望み得る最高の結果で今大会のタイトルを手にするため、私はロンドンにいる。ここ4年間、O2アリーナでは良い状況だ」

 全仏以降、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2016)やリオデジャネイロ五輪で早期敗退を喫するなど、ジョコビッチは6大会に出場してタイトル獲得が一つにとどまっており、プライベートでの問題や霊的な教えを授けるペペ・イマズ(Pepe Imaz)氏の影響を受けているという疑惑がささやかれている。

 イマズ氏は複数の大会でジョコビッチに帯同しており、ボリス・ベッカー(Boris Becker)コーチの不在時には、同選手のチームの中で影響力が高い人物となっている。

 13日に行われるドミニク・ティエム(Dominic Thiem、オーストリア)との大会初戦を控え、自身の精神状態について問われたジョコビッチは、けんか腰の反応を示した。

「何がそんな質問をさせるんだ?いつもの自分状態で日々を過ごしている。誰にもある気分の浮き沈みの話をしているんだ」

「プレーするための決意が低いと感じる日もあれば、高い日もある。前向きな日々が長く続く限り、物事はうまく進む。それは、10年以上プロのレベルでプレーしてきた私に当てはまる。まだ体力は十分にあると感じているよ、この先何年分もね」

 現在までにさまざまなことを達成してきた自身にとって意欲を駆り立てるものは何かと問われ、ジョコビッチはこう付け加えた。

「テニス界ではグランドスラムと世界1位が頂点だ。その二つが最高の目標であり、自分自身にとっての野望だと考えている」

(c)AFP/Steven GRIFFITHS