■謎は残る

 ハンセン病は今日、抗生物質でほぼ制御できる。だが今なお、世界で年間20万人近くの新規患者が、主に発展途上諸国で報告されている。

 研究チームによると、アカリスがどのようにして感染したかについては不明のままだ。ハンセン病がアカリス全体の個体数減少の一因となっている可能性があるかどうかもまだ分からないという。

 論文の共同執筆者で、EPFLのアンドレイ・ベンジャク(Andrej Benjak)氏は、「リスと人との接触は限定的なので、通常では人への感染リスクは低い」としながら、パニックを起こさないよう人々に呼びかけた。また、アカリスの狩猟は大半の欧州諸国で禁止されていることについても触れた。

 研究チームは現在、これまでに知られていない保菌宿主が他にも存在するかどうかを確かめるために、世界各地に生息するリスや他の動物に対しても細菌検査を行う計画を立てている。

「多剤併用療法による効果的な治療が広く普及しているにもかかわらず、人のハンセン病の流行発生率が一定の水準から下がらないという不可解な状況が続いているのは、このような保菌宿主がその一因となっている可能性がある」と、論文は指摘している。(c)AFP/Kerry SHERIDAN