【1月1日 AFP】グロリアはポルトガルで最も悪名高い刑務所の「常連」だ。ただし、彼女は犯罪を繰り返して刑務所に何度も戻って来ているわけではない。

 グロリアとは犬の名前。ポルトガル原産の犬種バルバド・ダ・テルセイラのグロリアは、首都リスボン(Lisbon)にある凶悪犯罪者用の刑務所、モンサント刑務所内で受刑者たちが運営しているペットホテルの常連客だ。

 テレビ業界で働く飼い主のルイ・シルバさん(48)は今日もまた、週末だけグロリアを預けに来た。最高レベルの重警備態勢を敷くモンサント刑務所にペットを預けることについて「ためらうことはなかった」と、シルバさんは言う。「きちんと世話をしてくれるかと聞いたら、もちろんとの答えだった。それが重要だ」

「ドッグハウス」と呼ばれるこのペットホテルは白と黄色の建物で、ワイヤフェンスで囲まれた刑務所の外に隣接している。小さな受付には、これまでに宿泊した犬たちの写真が飾られている。受刑者たちは受付でペットを迎え、ワクチン接種の記録を確認し、飼い主から注意事項を聞く。預かっている間も受刑者たちが犬を散歩させたり洗ったり、餌をやったり、薬を飲ませたりする。

 犬用の68部屋は、夏やクリスマスの休暇シーズンに加えて、長期の週末にはたいてい満室になる。利用料金は1日当たり10ユーロ(約1230円)。飼い主がペットフード持参の場合は、9.5ユーロ(約1170円)だ。

 混み具合によって2~5人の受刑者が働き、月給として約80ユーロ(約9800円)を支給される。麻薬売買で服役中のリカルド受刑者は「刑務所の中にいるのとは全く違い、時間が早く進む」と言う。結婚し、幼い娘もいるリカルド受刑者は、出所した後に自分でペットホテルを始めることを考えている。

 刑務所当局は、このペットホテルは営利事業ではなく、受刑者に職業スキルを与えることで更生と社会復帰への準備を支援する手立てだと強調している。

 同刑務所の所長、アナ・クリスティーナ・カローロ(Ana Cristina Carrolo Pereira Teixeira)氏は「動物を世話することによって情緒的な結びつきが強くなる。これは他人や社会一般との関係にも反映する」「出所したときに他者と良好な関係を築けるはずだ」と述べ、そして「動物との関係は受刑者の心を穏やかにし、攻撃性を弱める」と説明した。(c)AFP/Daniel SILVA