【11月7日 AFP】中国の国会に相当する全国人民代表大会(National Peoples Congress、全人代)の常務委員会は7日、香港(Hong Kong)の立法会(議会)で中国からの独立を主張する「本土派」の新人議員2人が就任宣誓の際に文言を故意に変えた問題で、2人による宣誓のやり直しは認められないとし、議員資格を事実上剥奪する決定を下した。香港では前日、この問題をめぐって大規模な抗議デモが起きていた。

 中国寄りの香港政府は、9月の選挙で初当選した本土派の梁頌恒(Baggio Leung)、游蕙禎(Yau Wai-ching)両議員が就任宣誓の文言を故意に変えたことを問題視し、以後両氏の宣誓を阻んできた。中国は、立法会議員は「中華人民共和国の香港特別行政区」に忠誠を誓うと規定した香港基本法(憲法)の解釈を全人代常務委が行うと発表し、介入に乗り出していた。

 全人代は今回、香港の法律に従っていない宣誓は「不成立と判断されるべきで、再宣誓はできない」との解釈を示した。

 香港では6日、この問題をめぐって大規模なデモが発生。主催した民主派団体の発表では1万3000人が参加し、4000人が中国政府の香港出先機関「香港連絡弁公室」前に集まった。

 一部はその後、弁公室の外に警察が設けた金属製のフェンスを乗り越えようとしたため、警官隊が催涙スプレーを噴射するなど衝突も発生。現場は選挙制度の民主化を求めて2014年に起きた「雨傘運動(Umbrella Movement)」を想起させるほど騒然とした。

 参加者らは傘を使って催涙スプレーから身を守り、水や水入りペットボトルを警官らに投げつける人もいた。参加した学生のカス・ウォン(Cas Wong)さん(19)はAFPの取材に「私たちはとてもショックを受けている。弁公室で自分たちの要求を伝えたいだけだったのに」と話した。

 デモ隊と警官隊の衝突に先立ち、少なくとも1人が複数の警官に連行される様子が見られた。暴動鎮圧用の装備を身に着けた警官らはデモ参加者に対して「違法な集会」と警告し、解散するよう求めていた。(c)AFP