【11月5日 AFP】8日に投票日を迎える米大統領選で、共和党候補のドナルド・トランプ(Donald Trump)氏に投票すると公にするのを控えている「隠れた」支持者はどれほどいるだろうか。

 民主党候補のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官との大接戦が予想される中、こうした「隠れ支持者」がトランプ氏の秘密兵器となり、結果を左右するかもしれない。

 ホワイトハウス(White House)前で取材に応じた退役軍人のトーマス・ハドソン(Thomas Hudson)さん(64)は、期日前投票でトランプ氏に票を投じたことを気が進まない様子で認めた。いつもは共和党候補に投票することを「とても誇りに」感じているが、今回は「良心の呵責(かしゃく)」があると語った。

 重要なのはトランプ氏の隠れ支持者が、英国民投票が欧州連合(EU)離脱という結果に終わったのと同じような衝撃の選挙結果をもたらすことができるのかということだ。

 政治学者らはこうした予想外の選挙結果を「ブラッドリー効果(Bradley Effect)」と呼ぶ。1982年のカリフォルニア(California)州知事選で、世論調査では大きくリードしていた黒人のトム・ブラッドリー(Tom Bradley)元ロサンゼルス(Los Angeles)市長が敗れたことに由来する。有権者の多くは人種差別だと批判されることを恐れて、ライバルの白人候補に投票すると認めたがらなかったとみられている。

 米政治サイト「ポリティコ(Politico)」が主要11州の共和党の選挙関係者を対象に行った調査では、世論調査では隠れ支持者の数が実際よりも少なく出ると答えた人が71%に達している。

 バージニア(Virginia)州のある共和党員は「トランプ氏に投票すると認めない多くの共和党員を個人的に知っている」と言う。「私自身も認めたくない」

 電話調査でもトランプ氏の支持者は実際より少なく出るかもしれない。インターネット調査のほうが人々はどの候補者に投票するつもりなのか本音を明らかにしやすいとみられる。

 ウェブサイト「ファイブサーティーエイト(FiveThirtyEight)」は、「ドナルド・トランプ氏に対するヒラリー・クリントン氏のリードは、電話で直接聞き取る方式の調査の方が、そうでない調査よりも大きい」としている。

 米誌ニューズウィーク(Newsweek)に執筆している科学者で政治評論家のウィリアム・ハウスドルフ(William Hausdorff)氏によれば、こうした技術的な要因がEU離脱を決めた英国民投票の結果を世論調査が予測できなかったことにつながったという。(c)AFP/Anne RENAUT