【11月4日 AFP】(更新)国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は3日、リビア沖の地中海(Mediterranean Sea)で移民らを乗せた船が転覆し、少なくとも110人が死亡したとみられることを明らかにした。移民らは銃を突き付けられ、船への搭乗を強要されていたという。また2件目の移民船事故も発生し、120人余りが死亡した恐れが出ている。

 UNHCRのカルロッタ・サミ(Carlotta Sami)報道官はAFPに対し、「約140人が乗った船が2日、リビアを出てほんの数時間後に転覆した。生存者は29人のみだった」と明かした。

 さらに女性2人がUNHCRに対し、2件目の移民船事故について証言。2人の他に生存者はおらず、125人前後が犠牲になったという。

 サミ報道官は、「女性らは、故障した粗末なゴムボートに乗っていたが、船は出航後たちまち沈み始めたと話している。生存者は2人だけだった」と伝えた。ただしこの事故については、イタリア沿岸警備隊による確認は取れていない。

 国際移住機関(IOM)も同じ生存者らの証言を伝え、これら2隻の船の死者を計240人と発表している。

 生存者らはイタリア沿岸警備隊により同国のランペドゥーザ(Lampedusa)島に移送され、現地の支援団体メンバーや医師に対し、自らの体験を語った。

 医師の一人が地元テレビ局Tv2000に語ったところによると、悪天候に気付いた移民らは岸へと戻ろうとしたが、密航業者らに銃を突き付けられ、出航を強要された。密航業者は「彼らをゴムボートに乗せるため、男性一人を撃ち殺した。出発を強いて、船が数マイル(数キロ)進んだところで、事故が起きた」という。

「ある女性は、遺体にしがみついて生き延びたと語った。乗客らは海中に投げ出されたまま何時間も救助を待ったが、ついに救助隊が到着したころには、大半の人が手遅れの状況だった」

 地中海を渡るという危険を冒して欧州を目指し、亡くなったり行方不明になったりした人の数は、今年に入ってこれまでに4000人を超えている。(c)AFP/Ella Ide with Andreas Solaro aboard the Topaz Responder