【11月3日 AFP】イラク北部モスル(Mosul)東端にあるコクジャリ(Gogjali)村では2日、前日に市内に到達したイラク軍精鋭部隊の掃討作戦による発砲音が響き渡る中、住民たちが白旗を手に用心深く自宅から出てきてイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の残忍さを口々に語った。

「トラクターを没収され、6日間も拘束されて殴られた。解放されたが、それ以降、仕事はできなかった」。母親と息子2人に寄り添われて取材に応じた農家のユセフ・ファリクさん(40)の顎には、ISの戦闘員に強要されて伸ばし始めた長いひげが生えていた。「彼らは私たちを殺し、いつも金を無心した。私たちはどこへも行けず、毎日が地獄だった」と母親が続けた。

 村の住民の間では、イラク特殊部隊員がくれた電動バリカンが引っ張りだこだ。男性たちは行列をつくって順番待ちをし、ISの命令でずっと伸ばし続けていたひげを2年ぶりにようやくそることができた。

 イラク軍は、国内最後のIS主要拠点であるモスル奪還作戦の開始から2週間余りで市東端に到達したが、そこから市内へは入れないまま戦闘が続いている。市内には100万人以上の市民が取り残されているとみられ、ISが人々を強制的に集めているとの複数の住民の報告もある。支援関係者からは「最悪の事態に備えている」との声も出ている。(c)AFP/Sarah Benhaida