【11月3日 AFP】米国の研究者らが2日、臨床試験段階にあるアルツハイマー病の新薬について、有害な副作用が認められず、薬剤として期待が持てるとする論文を発表した。

 米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン(Science Translational Medicine)に掲載された論文によると、初めは軽度から中程度のアルツハイマー病患者32人を対象とした研究が行われ、現在は3000人以上の患者が実験に参加して、より広範囲な2つの臨床試験が進められているという。

 治療には、米製薬会社が開発したベルベセスタットと呼ばれる化合物が使用されている。ベルベセスタットには、BACEIとして知られる酵素を阻害することにより、ベータアミロイドと呼ばれるタンパク質の量を減らす働きがある。

 アルツハイマー病は、タンパク質が凝集したアミロイド斑(プラーク)が脳にダメージを与え、記憶力などの認知能力に悪影響を及ぼすことが知られている。酵素はこのタンパク質の生成に大きく関わっている。

 これまでにもBACEI酵素を中和するために開発された薬剤はあったが、肝機能障害や神経変性など非常に有害な副作用を生じていた。

 2つの臨床試験は現在、ベルベセスタットの効果を検証するため3段階に分けて行われる治験プロセスの「フェーズ3」まで進んでおり、2017年7月に結論が出されることになっている。結果が良好であれば、ベルベセスタットは2~3年後には市販薬として販売される可能性がある。(c)AFP