【11月2日 AFP】カナダは2017年か18年初頭にも嗜好(しこう)用大麻を完全合法化する予定だ。実現すればウルグアイに次いで大麻を合法化した世界で2番目の国となる。だが大麻を合法化しても税収増はほとんど望めないとする報告書が1日、カナダ議会に提出された。

 合法化の支持者らが大麻解禁を主張する根拠の一つは税収の増加が見込めるという点だ。しかし議会に独自分析報告書を提出したカナダ議会のジャンドニ・フレシェット(Jean-Denis Frechette)主計官は、大麻を合法化しても大幅な税収増は期待できないと指摘する。

 政府統計は、カナダにおける15歳以上の大麻消費者数は2018年までに460万人に上り、大麻消費量は年間655万トン、金額換算では42億~62億カナダドル(約3250億~4800億円)相当と推計している。

 だがフレシェット氏によると、大麻合法化当初に小売店から徴収する売上税は推計で約3億~6億カナダドル(約230億~465億円)で数十億ドル規模には達しない。カナダ金融大手CIBCワールド・マーケッツ(CIBC World Markets)は1月、大麻合法化による年間税収推計額を最高で50億カナダドル(約3900億円)と発表しているが、これをはるかに下回る数字だ。

 さらに政府は租税政策の上で、若年層の大麻使用を抑制するとともに違法大麻市場の利益を縮小させるという2つの目標の間で妥協点を見つけなければならない。

 フレシェット氏は、税収増のためには合法大麻の価格を違法市場よりも高価格に設定する必要があり、そうすれば若者の大麻使用は抑制できるとしたうえで、そうなると既存の大麻使用者たちは価格の高い合法市場に移行しようとは思わないだろうと指摘した。2014年に嗜好用大麻を合法化した米コロラド(Colorado)州の場合、税率を約30%に設定した結果、嗜好用の合法大麻に移行した使用者はわずか5~10%だったという。(c)AFP