【10月31日 AFP】世界各国首脳の専属シェフたちは、いつもは主役である首脳たちの陰に隠れ裏方に徹する存在だ。そんな彼らが1年に1度だけ、客人として外国に招かれて料理をふるまわれる機会がある。

 世界最上級の美食クラブと称される「シェフの中のシェフ・クラブ(Club des Chefs des Chefs)」は、世界の首脳に仕える料理人たちが意見や着想交換をする集まりだ。おそらくはボスたちの味覚に関する内部情報も交わされていることだろう。1977年に仏パリ(Paris)で創設され、年に1度メンバーが集っている。今年の会合は初めてインドで行われ、インド大統領の専属シェフ、モントゥ・サイニ(Montu Saini)氏がホストを務めた。

「世界の大統領たちには全員が顔を合わせる機会がある。ならば、シェフ版の20か国・地域(G20)首脳会議みたいなものがあってもいいと思った」とシェフ・クラブの創設者ジル・ブラガール(Gilles Bragard)氏はインドの首都ニューデリー(New Delhi)で記者らに語った。「政治は人々の間に亀裂を生むが、おいしい食事は人々を結びます」

 通常、シェフ・クラブの慣例ではホスト国の地元料理を味わうことになっている。だがサイニ氏がシェフたちを案内したのはニューデリーの路上に立ち並ぶ屋台ではなく、五つ星ホテルの厨房だった。そこでサイニ氏は小麦粉とジャガイモから作るインドで人気の揚げ菓子プーリーや、甘いものや香辛料をきかせたものもあるチャツネを添えたティッカなどをシェフたちにふるまった。

「シェフたちを屋台には連れて行けない。彼らは外国人で、おなかが繊細すぎるからね」とサイニ氏は理由を説明した。