【10月27日 AFP】女子テニス、WTAツアー選手権(BNP Paribas WTA Finals Singapore 2016)は26日、シンガポールで4日目が行われ、大会第8シードのスベトラナ・クズネツォワ(Svetlana Kuznetsova、ロシア)が2試合連続で驚異の逆転勝利を収め、ベスト4入りを決めた。

 24日の試合で、大会連覇を目指す第2シードのアニエスカ・ラドワンスカ(Agnieszka Radwanska、ポーランド)のマッチポイントをしのいだクズネツォワは、この日も全米オープン(US Open Tennis Championships 2016)ファイナリストで第4シードのカロリーナ・プリスコバ(Karolina Pliskova、チェコ)に瀬戸際まで追い込まれながらも、3-6、6-2、7-6(8-6)で競り勝った。

 クズネツォワは、28日に第5シードのガルビネ・ムグルサ(Garbine Muguruza、スペイン)とのラウンドロビン最後の一戦に臨むことになっているが、この日ムグルサがラドワンスカに6-7(1-7)、3-6で敗れたため、ホワイトグループからの勝ち抜けが確定。一方、ムグルサが2連敗で敗退が決まったことにより、プリスコバとラドワンスカが残り一枠のグループ突破を懸けて対戦することになった。

 第1セットで相手のセットポイントをしのいだラドワンスカは、「この試合を2セットで制することができて、とにかくうれしい」と喜ぶと、「堅実なプレーができていたと思いますし、重要な場面では適切なショットが打てていました。紙一重の試合でした」と振り返った。

 一方、31歳のクズネツォワは額から汗を流し、へとへとになりながら2時間以上も走り回って筋肉が悲鳴を上げる中、断固たる意志と強い精神力で勝利をつかみ取った。

「いつも懸命にプレーしていますが、以前よりも少し自信がついてきたのかもしれません。粘り強くなってきました。物事がうまく運び出すと、自信がついてきます。私が勝利を重ね、闘志を示し、絶対に諦めないので、相手が前より自分を恐れているのが分かります。たとえプレーがみっともなくて、体がぼろぼろでも、私は絶対に諦めません」

 セレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)とマリア・シャラポワ(Maria Sharapova、ロシア)が不在となる中、クズネツォワは世界のトップ選手8人のみでシーズン女王を争う最も権威ある同大会で、伏兵ながらも話題の中心として頭角を現している。

 大方の予想を覆して2009年以来の出場を決めたクズネツォワは、22日に露モスクワ(Moscow)で行われたクレムリン・カップ(Kremlin Cup 2016)を制して出場権の最後の一枠を獲得すると、そのまま飛行機に飛び乗り、東南アジアへの長旅の途に就いた。

 到着時は時差ぼけのため、ラドワンスカとの初戦では敗北するかと思われたクズネツォワだったが、この試合のチェンジエンドで主審にはさみを要求し、ポニーテールを切り落とした。その後、試合に勝利したクズネツォワは、ヘアカットした動画がソーシャルメディアで拡散され、新たに大勢のファンを獲得した一方で、自身のヘアスタイリストを怒らせてしまった。

「写真を撮って、美容師に送信しました。そうしたら彼は、『殺すぞ』ですって」

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