【10月18日 AFP】イラク軍は17日、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」が支配している北部モスル(Mosul)の奪還作戦を開始した。今回の作戦は、2年前にモスルで樹立が宣言されたISの「カリフ制国家」に致命的な打撃を与えようとしているが、ISにとってイラク国内最後の主要拠点である同市奪還は困難を伴い、時間もかかるとみられている。

 作戦に参加している約3万人のイラク軍は、60か国が参加する米国主導の有志連合による空爆や陸上からの支援を受けながらモスルへ進軍している。

 17日午前、クルド人自治区から集結したクルド人治安部隊ペシュメルガ(Peshmerga)がモスルの東方から進攻する中、イラク軍はモスルの南方約60キロにあるケイヤラ(Qayyarah)の集結基地から進軍している。

 約4000人のペシュメルガ部隊は、かつてキリスト教徒やカカイ(Kakai)教徒の少数民族が住んでいた村などの奪還を目指している。作戦に参加している指揮官らによると、既に複数の村を奪還し、2014年8月にISが制圧したキリスト教徒が住む2つの町、カラコシュ(Qaraqosh)とバルテラ(Bartalla)の街はずれまで進攻している。

 これに対しISは、モスルへの攻撃が開始されてからわずか数時間後、バグダッド(Baghdad)の南のイラク軍の検問所に車両を使った自爆攻撃を行ったと明らかにした。この攻撃で少なくとも10人が死亡した。

 リズ・グランデ(Lise Grande)国連イラク支援ミッション(UNAMI)事務総長特別副代表は記者団に対し、1週間以内に大勢の住民がモスルから脱出し始める可能性があると述べ、その場合の人道支援作戦は今年最大のものになるとみられ、一部の支援団体は準備状況を懸念していると語った。

 グランデ氏によると、最悪のシナリオでは数週間のうちに100万人が移動する可能性があるが、その6分の1の人数で人道支援の能力を超えるという。

 米国を拠点とする難民支援団体「国際救援委員会(IRC)」は「今後数週間で最大20万人がモスルを脱出する可能性があるが、現在、7つの避難所に用意されているテントは6万張りしかない」と語っている。

 一方、米国防総省のピーター・クック(Peter Cook)報道官は17日、「イラク軍はこれまでに現段階での目標を達成したもようで、作戦1日目の予定より早く進んでいるようだ」と述べた。(c)AFP