【10月18日 AFP】南米ペルーに生息する絶滅危惧種のチチカカミズガエル(学名:Telmatobius culeus)約1万匹が、水質汚染が懸念されている川で大量死し、当局が原因の調査を進めている。当局が17日、明らかにした。

 ペルー南部を流れるコアタ(Coata)川で最近、皮膚のひだが多く緑色をした、大型のチチカカミズガエルが多数水面に浮かんでいるのが目撃され、森林野生動物局(Serfor)が調査に乗り出した。

 Serforは声明で、「地元住民らの証言と、大量死から数日内に採取したサンプルに基づくと、流域約50キロにわたってカエル1万匹以上に影響が及んだと考えられる」と発表した。

 これについて警鐘を鳴らしたのは、環境保護団体「コアタ川汚染対策委員会(Committee Against the Pollution of the Coata River)」で、コアタ川の深刻な水質汚染を無視し続けているとして、当局を非難した。

 同団体の支持者らは抗議のため、チチカカミズガエル100匹の死骸を地域の主要都市プノ(Puno)の中心街に持ち込んだ。

 抗議活動のリーダーであるマルハ・インキヤ(Maruja Inquilla)氏は、カエルの大量死を警鐘として受け止めるよう当局に強く訴えた。

「カエルの死骸はやむを得ず持ち込んだ。当局は汚染の規模がどれほど大きいかが分かっていない。この状況は極めていら立たしい」と、インキヤ氏は述べた。「国はなぜこれほど無関心なのか。下水処理場が今すぐ必要だ」

 チチカカミズガエルは、南米最大の湖チチカカ湖(Lake Titicaca)とその支流にのみ生息している。「陰嚢(いんのう)ガエル」という愛称の由来になっている表皮のひだは、アンデス(Andes)山脈の高地で皮膚呼吸を効率よくするためのものだ。(c)AFP