【10月17日 AFP】欧州宇宙機関(ESA)は16日、生命およびその痕跡を探査する目的で、ロシアと協力して進めている火星探査計画「エクソマーズ(ExoMars)」で、母船の無人周回機トレース・ガス・オービター(TGO)から、着陸機を火星表面へと向け分離させた。着陸機は今後3日間かけて火星表面に到達する。

 着陸探査機スキャパレリ(Schiaparelli)が分離する際、TGOからの情報送信に遅れが生じた。地上管制官の間には緊張が走ったが、その後に復旧したことがAFPの取材で確認されている。着陸機は幼児用プールほどの大きさで、重さは約600キロ。

 TGOとスキャパレリは今年3月、欧露火星探査共同プロジェクト「エクソマーズ」第1弾として打ち上げられた。打ち上げから7か月後、グリニッジ標準時(GMT)16日午後2時42分(日本時間午後11時42分)、地球から4万9600キロ離れた地点で計画通り母船のTGOから切り離された。スキャパレリは19日に火星表面に到達する予定で、その間にTGOは低高度軌道に向かう。

 エクソマーズは、ESAが13年前に失敗以降、初めてとなる火星着陸計画だ。TGOの役割は、スキャパレリを火星に運ぶことと火星大気の調査だ。火星の大気には二酸化炭素が多く含まれており、これについては、微細な生物によって排出された可能性もあるとされている。

 一方のスキャパレリの役割は、火星大気への突入および着陸する際の技術の確認とデータの採取だ。ここでのデータは、今後、次の段階で投入される火星着陸探査車の運用時に利用される。

 探査車は、2020年中に打ち上げられ、半年かけて火星に到着する予定。火星では、ドリルを使って地面に穴を開け、生命体もしくはその痕跡を探す。(c)AFP/Mariëtte Le Roux