■うつ状態、自殺…

 東京地裁は昨年、AV出演を拒否した女性に、違約金として2400万円を要求したプロダクションの訴訟を棄却した。こうした裁判でまれに見る被害者側の勝利だったと人権団体は指摘する。

 業界統計によると、日本で毎年発売されるAV作品は約3万本。インターネットが普及した現在、女性たちが出演を強要されたAVを流通現場から駆逐することは、ほぼ不可能かもしれない。

 ヒューマンライツ・ナウの報告書では、AVに出演した過去から逃れるために整形手術を繰り返した女性や、出演作の販売を止めさせるために弁護士に依頼して訴えを起こす直前に自殺してしまった女性についても記されている。

 元AV女優で作家の川奈まり子(Mariko Kawana)さんは今年の夏、AV業界の健全化を図るための団体を立ち上げた。ここを通じて、AV出演があると明記された、透明性の高い契約内容と契約書の統一を求めていくという。川奈さんは自分で選んでAV業界へ入ったが「メーカーごとの村のおきてがある。これを全部統一されたルールにして、女優さんの権利が守られるような決まりにしたほうがいいんじゃないかと思った」と話す。

 香西さんは現在、以前の所属プロダクションの社長を相手取って訴訟を起こすことを考えている。業界関係者の逮捕やメディアで取り上げられたことが転機となるかもしれない。そして「1人が前例を作ったら、これから女の子たちが同じような目に遭ったときに、助かりやすいのでは」とコメントした。(c)AFP/Natsuko FUKUE