【10月16日 AFP】イエメンで反政府勢力と戦闘中のサウジアラビアが主導する連合軍は15日、同軍の戦闘機1機が今月8日にイエメンの首都サヌア(Sanaa)で行われていた葬儀を「誤って標的にした」と認め、関係者を処分すると発表した。この空爆で140人以上が死亡し、サウジと友好的な欧米諸国も含む国際社会から強い批判の声が上がっていた。

 調査団は「連合軍が交戦規則と手順を順守せず、誤った情報が提供されたことにより、連合軍機が(葬儀の)場所を空爆したため、民間人の死傷者が発生した」「原因となった人物に対する処罰と、被害者の家族に対する適切な補償が行われなければならない」としている。

 今回の攻撃は、サウジ主導の連合軍がイエメン政府を支援し、イスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装勢力「フーシ派(Huthi)」に対する空爆を開始した昨年3月以降の約19か月間で最悪のものの一つとなった。

 国連(UN)によると、アラビア半島の貧国イエメンの紛争にサウジ主導の連合軍が介入してからこれまで6700人以上が死亡しており、その3分の2近くが民間人だという。

 英国は今週にも、イエメンでの即時停戦を求める決議案を国連安全保障理事会(UN Security Council)に提出する予定。安保理では先に葬儀空爆を非難する声明を出そうとする動きがあったが、表現に強硬さが足りないと反対するロシアによって拒否されていた。

 この空爆に国際的非難を浴びた連合軍は昨年3月から実施していた空域封鎖を緩和すると発表し、外国で治療を受けさせるため重体患者を移送することを許可した。

 フーシ派幹部の父親の葬儀を標的にした空爆では、これまでに死者のほか525人が負傷し、うち300人以上が重体だという。反政府組織関係者は、重体患者115人を運ぶためオマーンの航空機が15日サヌアに到着したと述べた。

 オマーンは湾岸諸国の中でサウジ主導の連合軍に参加していない唯一の国で、先にも反政府勢力側に拘束されていた欧米などの外国人をサヌアから国外に避難させていた。(c)AFP