【10月14日 AFP】ロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領による「麻薬撲滅戦争」に対する懸念が高まるフィリピンで先月、オーストラリア人男性が麻薬密売の罪で訴追されていたものの、警察当局が証拠をねつ造したとして、無罪判決が言い渡されていたことが分かった。AFPが今週、判決文を入手した。

 一方、同じ捜査で逮捕、訴追されたカナダ人の男は、別の裁判官から終身刑を言い渡されていた。当局はこのカナダ人の裁判について、麻薬撲滅戦争が迅速な結果を出している証しだとして、称賛している。

 ドゥテルテ大統領が6月30日に就任して以降、麻薬撲滅戦争による死者は3300人以上に上っており、社会から違法薬物を撲滅するという同大統領の命令に従い、警察当局が超法規的な殺人を行うなどさまざまな方法で法を破っているのではないかとの懸念が高まっている。

 オーストラリア人男性は6月、カナダ人の男とともにマニラ(Manila)の路上で薬物を売ろうとしていたとして、逮捕された。

 だがオーストラリア人男性は、警官らによってホテルの自分の部屋から路上に引きずり出され、そこで錠剤を持たされ、記者団の前を歩かされたと主張した。

 オーストラリア人男性の弁護士は裁判で、主張を裏付けるホテルの監視カメラの映像を提出。裁判官は、「監視カメラの映像は、検察側の証人の主張と矛盾し、その証言の整合性を崩した」と述べ、逮捕時の状況について警察当局がうそをついたと判断を下した。(c)AFP