【10月14日 AFP】世界保健機関(WHO)は13日、2016年版の「世界結核報告書(Global TB Report)」を公表し、2015年の世界の結核感染者数は1040万人で、結核の流行拡大は予想をはるかに上回ると警告した。

 2014年の結核感染者は960万人で、感染者の数は急増している。死者数も増加しており、15年の死者数は前年より30万人多い180万人だった。 だがワクチン開発や治療法研究の資金不足は深刻だとWHOは指摘する。

 結核は肺が結核菌に感染することで罹患(りかん)する感染症で、症状が進むと血を吐くこともある。だが結核にかかった人のうち、5人に2人は結核と診断されず治療を受けていなかった。 また、50万人近くが既存の薬剤が効きにくい「多剤耐性結核(MDR-TB)」と診断されていた。その半数はインド、中国、ロシアでの症例だ。

 一方、新たな結核の罹患者は、60%をインド、インドネシア、中国、ナイジェリア、パキスタン、南アフリカの6か国が占めている。

 今年の報告書で結核感染の数字が拡大したのは、2000~15年のインドの感染症例数が少な過ぎると研究者たちが気付いたためだという。

 患者数が増加する一方で、結核による死者の数は直近の15年間に22%減少している。とはいえ依然として結核は昨年の世界の死亡原因の上位10以内に入っている。(c)AFP