【10月13日 AFP】男子テニス、上海マスターズ(2016 Shanghai Rolex Masters)は12日、シングルス2回戦が行われ、大会第12シードのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)が3-6、1-6でドイツのミーシャ・ズベレフ(Mischa Zverev)に敗戦。コートを去る際に、試合中にみせた攻撃的な態度に対して観客からブーイングを受けると、「彼らに恩義はない」と語った。

 かんしゃくを起こしやすいことで知られるキリオスは、世界ランク110位のズベレフを相手に次々とポイントを失い、観客や主審と口論するなど短気な気性を露呈すると、「簡単に諦めたり、少し興奮したり」したのは、前週優勝した楽天ジャパンオープン(Rakuten Japan Open Tennis Championships 2016)の疲れが出たためと弁解した。

 恋人とプレーしていたのを思い出すとズベレフが話していたように、キリオスは子どもが打つようなロブの軌道のサーブを打ったり、相手のサーブでもすぐに諦めて立ち去ったりするなど、終始やる気の見えないプレーをした。

 しかし、この試合で下品な言葉を吐いた末に警告も受けていた世界ランク14位のキリオスは、ファンがなぜやじを飛ばしながら腹を立てていたのか理解できなかったと主張する。

「自分たちが話していることを分かっていたら、彼らはテニスコートに立てていたし、成功もしていただろう。俺にはまったく理解できないよ。彼らは俺が味わっていることを分かっていないんだ」

 また、「俺はネットにボールを打つのがうまいんだ。俺は彼らに対して恩義があるわけではないし、俺の選択肢だ」と付け加えるキリオスは、「もし気に食わないなら、試合を見に来てほしいなんて頼まない。ただ立ち去ればいいんだ。そんなにアドバイスを与えるのが得意なら、どうして俺と同じくらいテニスがうまくないんだ? なんでツアーにいないんだ?」と語った。

 21歳のキリオスは、これまでの短いキャリアでたびたび問題を起こしており、昨季はスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)の恋人を侮辱するような発言をしたことで、1か月の出場停止処分を科されている。

 サム・キュエリー(Sam Querrey、米国)に6-4、6-4で勝利した今大会の初戦でも、キリオスは「退屈だった」とコメントを残し、東京での大奮闘の後で疲れていると話していた。

■「僕たちは完璧ではない」

 この日の2回戦で、スティーブ・ジョンソン(Steve Johnson、米国)に6-3、6-2で快勝した第2シードのアンディ・マレー(Andy Murray、英国)は、問題児でありながらもテニス界で最も才能豊かな選手の一人であるキリオスについて、すぐに擁護する発言をした。

 世界ランク2位のマレーは、「試合に出たら、その日持っている力を最大限に発揮しなければならない。それができなかったとすれば、彼は今夜、自分自身に失望することになるだろう」とすると、「だけど、僕たちは完璧ではない。誰もが間違いを犯すものだ。そこから教訓を得て、二度と繰り返さないようにしていきたいね」とコメントした。(c)AFP/Talek HARRIS