【10月12日 AFP】2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)アジア最終予選は11日、各地で行われ、グループAのイランは1-0で韓国に勝利したものの、喜びを表すことが禁じられている祭日の前日だったため、スタジアムは異様な雰囲気に包まれた。

 観客の多くはイランで最も神聖な日の一つ「アシュラ(Ashura)」の行事である追悼の行進に参加したあと、テヘラン(Tehran)にある7万5000人収容のアザディ・スタジアム(Azadi stadium)へ足を運んだ。

 イスラム教シーア派(Shiite)にとってアシュラは、預言者ムハンマド(Mohammed)の孫に当たるフセイン師(Imam Hussein)の死を悼む日で、その前日に通りで黒装束の男が胸や頭をたたきながら行進することが通例となっているが、アジアサッカー連盟(AFC)が試合を組んだため、各宗派の指導者からは不満の声が上がっていた。

 イラン学生通信(ISNA)は、指導者の一人が先日、「アシュラの前日にサッカーが行われるということは、試合の雰囲気は100パーセント、アシュラに沿ったものであることを忘れてはならない。スタジアム中が黒で覆われ、観客はことあるごとに『フセイン』と叫ばなければならない。拍手をする代わりに『ヤ・フセイン』と叫ぶのだ」と話していたと伝えている。

 前半24分にサルダル・アズムン(Sardar Azmoun)が決めたゴールが決勝点となった試合は、国営放送で中継されたが、スタジアムは黒装束の感情を抑えた観客によって黒で包まれていて、フセイン師をあがめる巨大な横断幕が2つ掲げられていた。

 試合前にイランの警察当局の長官は、通信社のタスニム(Tasnim)に対し、「観客と両チームの選手には、宗教上の規範を順守するよう伝えられた」と話している。

 AFCは試合中に宗教的な主張が示されることに神経をとがらせており、黒旗を撤去するよう要請していたが、イランサッカー協会(IFF)は、「われわれはそれには応じない。フセイン師の横断幕は人々の信念だ」として、これによるいかなる処分も受け入れる姿勢を示していた。

 韓国のジャーナリストは、祭日に敬意を表して選手は自主的に黒の腕章をつけたと話している。なお、韓国はテヘランで42年間勝利から見放され続けている。(c)AFP