【10月11日 AFP】元ピンク・フロイド(Pink Floyd)のロジャー・ウォーターズ(Roger Waters)が9日、ロック界の大御所が一堂に会する史上初の音楽フェスティバルに出演し、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏の似顔絵が描かれたブタ形の風船を宙に浮かべ、同氏を激しくこき下ろした。

 米南カリフォルニア(Southern California)の砂漠地帯で7日に始まったイベント「デザート・トリップ(Desert Trip)」は、2週続けて週末の3日間に開催される音楽フェスティバル。ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)やポール・マッカートニー(Paul McCartney)らも出演し、ウォーターズは最終日のヘッドライナーを務めた。

 ウォーターズが権力闘争に明け暮れる人々を批判した1977年のピンク・フロイドの楽曲「ピッグス(3種類のタイプ)(Pigs<Three Different Ones>

」を演奏する間、観客の頭上に浮かんでいたのは、トランプ氏の似顔絵とともに「無知、うそつき、人種差別主義者、性差別主義者」と書かれた巨大なブタの風船だ。

 また、頭上に設置された数か所のスクリーンには、最近明るみに出たトランプ氏が女性経験を自慢している下品で挑発的な発言が次々と映し出され、「ドナルド・トランプはブタだ」という太文字のメッセージが浮かび上がった。

 さらにウォーターズは、より巧妙なやり方でトランプ氏への攻撃を続けた。ピンク・フロイドの名曲「アナザー・ブリック・イン・ザ・ウォール(Another Brick in the Wall)」の演奏中、ステージの上には少数民族出身の10代の若者を中心としたコーラス隊が登場。若者たちが着ているTシャツには、「壁を取り崩せ」という意味のスペイン語「Derriba El Muro」のメッセージが書かれていた。

 トランプ氏は不法移民はレイプ犯だと主張し、メキシコとの国境に壁を建設することを大統領選の公約に掲げている。

 ピンク・フロイドのロックオペラ・アルバム、「ザ・ウォール(The Wall)」に出てくる「壁」は個人の孤立化の象徴として描かれているが、ウォーターズの活動家としての側面が知られるようになるにつれ、政治的な比喩として捉えられることが多くなっている。

 デザート・トリップは同じラインアップで来週末にも開催される。同フェスティバルにはこの他、ボブ・ディラン(Bob Dylan)やニール・ヤング(Neil Young)、9日にはロックオペラのジャンルでピンク・フロイドと並ぶ先駆的存在、ザ・フー(The Who)も出演した。(c)AFP/Shaun TANDON