【10月6日 AFP】「私はそれほど賢くない」――2016年のノーベル化学賞(Nobel Prize in Chemistry)受賞者に選ばれた米ノースウエスタン大学(Northwestern University)のフレーザー・ストッダート(Fraser Stoddart)教授が5日、記者会見し、税金逃れを「賢い」と自画自賛した米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏をチクリと批判した。

 英スコットランド(Scotland)出身のストッダート氏は、ノーベル賞の賞金について、「私はそれほど賢くない。米内国歳入庁(IRS)が3分の1を持っていくだろう」とコメント。シャンパンが振る舞われた記者会見場に笑い声と拍手が湧き起こると、「意味が分かったかい? 私は、それほど賢くないんだ」と繰り返した。

 賞金の800万スウェーデンクローナ(約9600万円)は、共同受賞した仏ストラスブール大学(University of Strasbourg)のジャンピエール・ソバージュ(Jean-Pierre Sauvage)氏、オランダ・フローニンゲン大学(University of Groningen)のバーナード・フェリンガ(Bernard Feringa)氏と、ストッダート氏の3人で均等に分割される。

 米国に暮らして20年になるというストッダート氏は、政治に関してそれ以上深くは語らなかったが、賞金は人助けに使いたいと明かした。「この国の学術界を動かす原動力の一つは、博愛主義だ」「もちろん、私も還元したい」とストッダート氏は語った。

 トランプ氏は先月26日の大統領選候補者による第1回テレビ討論会で、民主党のヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)候補から「何か大変なこと」を隠しているのではないかとの表現で連邦所得税の支払いを逃れていると示唆された際、「それなら、私は賢いということだ」と言い返している。(c)AFP