【10月11日 AFP】チベットの遊牧民たちが何百年も続けてきた伝統的な暮らしの中で、唯一変化があるとすれば、美しい星空の下で光る電気の明かりくらいのものだろう。

 家畜として飼育しているヤクの乳搾りには、今でもロープの取っ手がついた木製のバケツが使われている。乾燥し燃料として利用するヤクのふんは、樹木が少ない高地では必需品だ。

 しかし、こうした昔ながらの生活を続けているチベット遊牧民の数はだんだん減ってきている。中国政府は、チベット遊牧民の再定住政策を推し進めており、時に強制的に行うこともある。

 中国当局は、都市化によってチベットやその他の地域に工業化や経済発展がもたらされ、元遊牧民たちの生活水準は上がり、環境の保全も促進されると主張している。一方、環境専門家らは草原の環境を維持するためには放牧が不可欠で、遊牧民の家族が減れば、侵入植物がいっそう根付くだろうと懸念している。(c)AFP