【10月2日 AFP】仏財務省のウェブサイトに掲載されたその公告は、あっさりとしていて簡潔だ。「売却物件:刑務所、19世紀後半に(仏南東部の)グラース(Grasse)中心部に建設、面積1277.42平方メートル。車庫または駐車場なし。要修繕」──購入を希望する場合、保証金として5万ユーロ(約570万円)の納付が必要という。

 かつて刑務所として使用された建物の売却公告は10件前後存在し、低所得者向け住宅やコンサートホールなどに転用される刑務所が、都市部で増えている傾向を裏付けている。こうした建物の多くは保護の対象となっているため、解体は認められない。ただ、買い手がつかなければ当然ながら廃虚となる。

 欧州の水準に照らして刑務所の過密状態や老朽化を非難されたため、フランスは過去15年間、既存施設の近代化に取り組んでいる。ここ2年は一連の襲撃事件を受け、受刑者の間にイスラム過激思想が広がる可能性への不安が高まったことから、刑務所の近代化は一段と急務になった。

 マニュエル・バルス(Manuel Valls)首相が先月初めに語ったところによると、フランスは向こう10年で刑務所の収容能力を1万人引き上げる必要があるという。(c)AFP/Wafaa Essalhi with AFP bureaus across France