【10月1日 AFP】仏パリ(Paris)の労働審判所は、2010年にパリの高級ホテルでカタール人宿泊客から性的暴行を受けた清掃員の女性にホテルなどが5万7000ユーロ(約650万円)を支払うよう命じた。

 AFPが9月30日に内容を確認した判決によると、事件が起きたのは5つ星ホテルのパークハイアット・パリ・ヴァンドーム(Park Hyatt Paris-Vendome)で、加害者はカタール王子の側近の一人だった。

 同ホテルは清掃スタッフをこうした事件から守る十分な安全措置を講じていなかったほか、事件の夜に警察に通報せず、翌日に加害者の逃走を可能とした点でも過失を認められた。

 労働審判所は同ホテルに3万ユーロ(約340万円)、清掃員を派遣した会社に2万7000ユーロ(約310万円)の支払いを命じた。

 被害者はギニア国籍で現在33歳。身元を明かさないことを希望している。自殺未遂をしたほか「心的外傷後ストレス」で何度か病気休暇を取った後、別のホテルへの異動を拒否したという理由で2011年1月に解雇された。

 労働審判所はこの清掃員の解雇を「差別に等しい」と判断した。ホテル側は、判決は複数の事実誤認に基づいているなどとして上訴する構えだ。(c)AFP