【9月27日 AFP】ゴルフ界の「キング」として知られ、25日に87歳で死去したアーノルド・パーマー(Arnold Palmer)氏の追悼式が故人の地元で行われることが発表されたなか、パーマー氏とともに1960年代に「ビッグスリー」を形成した80歳のゲーリー・プレーヤー(Gary Player、南アフリカ)氏は、「いつか、また一緒にラウンドすることを願っている」と哀悼の意を述べた。

 パーマー氏の孫で、プロゴルファーのサム・サウンダース(Sam Saunders)は、近日中に家族葬を執り行う一方で、追悼式を来月4日に同氏の地元である米ペンシルベニア(Pennsylvania)州ラトローブ(Latrobe)のセントビンセント大学(St. Vincent's College)、バシリカ聖堂(Basilica)で開催すると発表した。

 アーノルド・パーマー・エンタープライズ(Arnold Palmer Enterprises)の代表を務めるアラステア・ジョンソン(Alastair Johnston)氏は、追悼式の日程を遅らせた理由について、今月30日から10月2日まで開催される欧州と米国の対抗戦、ライダーカップ(The 41st Ryder Cup)を考慮したためと説明している。

■「ゴルフを超越した存在」

 今年のライダーカップの開催地ヘーゼルティン・ナショナル・ゴルフクラブ(Hazeltine National Golf Club)をはじめ、セントアンドルーズ(St Andrews)、リヴィエラ・カントリークラブ(Riviera Country Club)、そしてアーノルド・パーマー・インビテーショナル(Arnold Palmer Invitational)が毎年開催されているベイヒルクラブ&ロッジ(Bay Hill Club & Lodge)など、世界中の名門コースではパーマー氏の死を悼んで半旗が掲げられている。

 全英オープン(The Open Championship)を主催するロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフ・クラブ(R&A)のマーティン・スランバーズ(Martin Slumbers)氏は、「彼は本物の紳士であると同時に、ゴルフ界で最も偉大な選手の一人であり、まさに象徴的な存在だった」とすると、「全英オープンへの彼の貢献度は計り知れないものがあり、これからもそれは変わらない。R&Aとゴルフ界は彼を失ったことを悲しみ、永遠に忘れないだろう」と故人をしのんだ。

 パーマー氏とのライバル関係や、すぐに友人同士になった思い出を振り返ったプレーヤー氏は、「彼とは60年来の親友だった。彼がいなくなって本当に寂しくなる」とコメントした。

「アーノルド・パーマーはゴルフを超越した存在だった。たくさんの人に元気を与え、自分の人生を精いっぱい生き抜いた。彼のゴルフには鋭さや勢いとともに、あの笑顔があった。状況が不利であっても、常にあきらめなかった」

「友よ、今夜はグラスを掲げて君の人生に乾杯しよう。安らかに眠れ。大好きだよ」

■「アメリカン・ドリームの体現者」

 ホワイトハウス(White House)でパーマー氏のゴルフレッスンを受けたことがあるバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領は、26日に声明を発表し、故人について、「アメリカン・ドリームの体現者だ」とコメントした。

「われわれが知る前から、アーノルド・パーマー氏は独自のスイングや素朴な魅力を振りまいていた。彼は勝利を積み重ねてきたが、キングになれたのは成功したからではない。彼の自由奔放で恐れ知らずのゴルフが、ゴルファーたちを魅了した。そして、初めてテレビを通じて世界中の視聴者を夢中にさせたのだ」

「彼のメジャー通算7勝は本当に素晴らしいことだ。しかし、体が衰えていたときでも勝利を目指す姿勢が、みんな大好きだった」

 パーマー氏はツアー通算62勝を挙げた実力以上に愛される存在であった証拠に、現役を退いてからも年間4000万ドル(約40億円)を稼ぐアスリートとして知られており、引退した選手としては最も稼いでいる米プロバスケットボール(NBA)のマイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏とサッカー元イングランド代表のデビッド・ベッカム(David Beckham)氏に続く所得を誇っている。

 1960年代の全英オープンでパーマー氏が示した闘志あふれるプレーは、ゴルフ人気を爆発させるきっかけとなり、欧州ツアーのキース・ペレー(Keith Pelley)最高経営責任者(CEO)は、「1960年代にアーノルドが全英オープンに出場したことが、世界にゴルフを普及させる後押しとなったことは間違いない」とコメントしている。

 全米ゴルフ協会(USGA)のダイアナ・マーフィー(Diana Murphy)会長は、パーマー氏が全盛期だけでなくシニア時代も変わらずに周囲に元気を与え続けていたことを思い起こし、「彼はいつも目を輝かせて、私たち全員に笑顔で元気づけてくれました。彼の歴史は私たちの歴史であり、彼がゴルフに与えてくれた影響は、時代を超えていくことでしょう」と語った。(c)AFP/Jim SLATER