【10月3日 AFP】インド西部グジャラート(Gujarat)州にある妊娠した女性たち数十人が寝泊まりする施設で、夫を亡くしたシャルミラ・マックワンさん(31)は、よその夫婦のために双子を代理出産するべきか決心しかねていた。マックワンさんにとって代理出産は貧困から抜け出せる唯一の方法なのだ。

 他人の子を妊娠している9か月間、マックワンさんは自分自身の子どもたちを児童施設に預けている。出産するまで産院に併設されたこの施設で暮らすよう契約書に明記されているからだ。無事に双子を出産すれば入手できる40万ルピー(約60万円)が家計の大きな助けになることは分かっていた。

 しかし「子宮レンタル」とも呼ばれ、女性が搾取されているなどとして賛否が分かれる代理出産ビジネスを、インド政府は今、禁止する方向に動いている。マックワンさんは「代理出産は残すべき」と考えている。「これがなければ、一生かかってもこれほどの大金はためられなかった」とマックワンさんは話す。彼女は貯めたお金で9歳と12歳の息子を学校へ行かせ、小さな家も建てるつもりだ。

 それでも妊娠4か月目に入ったマックワンさんは、双子を生むのは初めてで「すごく怖い」と話す。「でも、他に私に何ができますか?神様が私を守ってくださると祈るだけです」と言いながら、マックワンさんは宿泊施設の広々としたドミトリールームで深々と椅子に腰かけた。この部屋には約60人の女性が寝泊りするベッドが並んでいる。

 インドにはマックワンさんのように、他人のために子どもを出産し、まとまった金を稼ぐ女性たちが貧困層を中心に2000人ほどいる。

 2002年に代理出産がインドで認められて以来、安価で安心な代理出産サービスを求めて外国から多くのカップルがインドに押し寄せ、インドは巨額産業となった代理出産市場の世界トップに躍り出た。

 しかしインド政府は2012年、代理出産ビジネスにまつわる法律を厳格化。同性愛者のカップルと独身者に対する代理出産サービスが禁じられた。さらに昨年11月には、代理出産クリニックに外国からの顧客は受けいれないようにとの指導が当局から出された。