【9月24日 AFP】米南部ノースカロライナ(North Carolina)州シャーロット(Charlotte)で、拳銃を所持していたとされる黒人男性が警官に射殺された事件に抗議する激しいデモが続いている問題で23日、死亡した男性の妻が当時撮影した劇的な動画が公開された。

 事件当時の様子は、警察のボディーカメラと車載カメラでも撮影されており、同市警察は死亡したキース・ラモント・スコット(Keith Lamont Scott)さん(43)が警官の身の安全を脅かす様子が映っていると主張している一方で、映像の一般公開を拒否し続けている。

 スコットさんの妻、ラケイア・スコット(Rakeia Scott)さんがスマートフォンで撮影した動画は、弁護士を通じてAFPを含むメディア各社に公開された。動画公開により、シャーロット警察に対しても映像の公開を求める声がいっそう高まるのは必至だ。

 2分16秒にわたる動画には、発砲場面は直接映されていないものの、発砲に至る経緯と、ラケイアさんが警官にスコットさんを撃たないよう懇願する様子が映されている。

 動画の前半、ラケイアさんは「彼を撃たないで。撃たないで。彼は武器を持っていない。撃たないで」「彼にはTBIがある。あなたたちには何もしない」などと叫んでいる。

 TBIは「traumatic brain injury(外傷性脳損傷)」の略語とみられる。隣人らがAFPに語ったところによると、スコットさんには障害があり、どもりなどの問題があった。

 動画ではさらに、警官の「銃を捨てろ! 銃を捨てろ!」という怒鳴り声も聞こえる。ラケイアさんはスコットさんに「(警官に)窓を割らせないで。キース、車から出て」と懇願。そして「キース。やめて。キース、車から出て」という声の後、4発の銃声が鳴り響き、その瞬間ラケイアさんはスマートフォンのカメラを発砲現場から背けた。

 その後、警官に囲まれ、道路の上にうつ伏せに横たわるスコットさんの姿が映され、ラケイアさんは「彼を撃ったの? 撃ったの? 死んでしまったら承知しないわ」と叫んでいる。

 スコットさんの家族や市民らの多くは、スコットさんが銃を所持していたという警察の説明を信用しておらず、家族はスコットさんが手にしていたのは本だったと主張している。公開された動画からは、スコットさんが銃を所持していたかどうか結論を出すことは困難だ。(c)AFP