【9月23日 AFP】英ロンドン(London)にあるテート・モダン(Tate Modern)美術館の新館が、来館者ののぞき趣味的本能を刺激している。新館の展望バルコニーからは、向かいに立つガラス張りの高級マンションが丸見えだからだ。

 一戸あたり400万ポンド(約5億2500万円)以上で売られているこのマンションは、6月オープンの新館からわずか20メートルの位置にあり、新館の来館者は、裕福なマンションの住民の暮らしぶりを見ることができるが、住民はうんざりしている。

 22日付の英紙ガーディアン(Guardian)は、「ひどいものだ。自分がいつも展示されているみたいに感じる」とのマンションのある住人のコメントを伝えた。この住民が暮らす部屋のダイニングルームは新館のレストランに面しているという。

 また、他の住人たちは、自宅のインテリアの写真が、ソーシャルメディアで共有されたと訴えている。

 同美術館のニコラス・セロタ(Nicholas Serota)館長は、新館の目玉の一つである展望バルコニーを閉鎖する可能性を否定し、裕福な住人たちに「ブラインドやカーテンをつるす」よう促した。さらに、オーナーたちは新館のことは知っていたはずだと語った。

 マンションのある従業員によると、各部屋にはカーテンはあるが、住人たちは、一日中暗い中で過ごしたくないと話しているという。

 美術館は批判に対し歩み寄りをみせ、展望バルコニーに、「近隣住民のプライバシーを尊重してください」との注意書きを掲示した。

 だがソーシャルメディアには、「マンションの写真を撮るときにこうした注意書きは状況説明としてすごく役に立つ」「ロンドンでは、ほとんどの人が注意書きと真逆のことをする可能性がある」などのあざけりの声が上がった。

 新館を訪れた後、マンションをみる誘惑に抵抗できなかったと話した55歳のフランス人女性は、「私だったらカーテンを閉める」と語り、展望バルコニーは午後6時に閉まることを指摘し「夜は平穏で静かでしょ」と述べた。(c)AFP