【9月22日 AFP】国連(UN)の「持続可能な開発目標(SDGs)」の健康と福祉に関する報告書が21日、発表され、肥満やアルコール依存症、パートナーからの虐待などの問題が世界的に増加傾向にあることが分かった。一方で、幼児死亡率や発育不全、貧困がもたらす諸問題などでは改善がみられるとされた。

 英医学誌ランセット(Lancet)に掲載された同報告書では、1990年以降の世界188か国の状況をSDGsに照らし合わせて評価した。報告書からは、「改善の程度に大きな開きがある」ことが浮き彫りになった。

 最も大きな改善がみられたのは、出産時やその直後の女性や子どもの死亡率で、栄養失調による発育不全や幼少期の衰弱などのケースも減少した。

 その一方で、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)などのウイルス性疾患や結核の撲滅、さらには幼少期の肥満問題やパートナーからの暴力に関して設けられた目標を達成できた国は皆無だった。子どもの過体重については、「過去15年間で大きく悪化した」と指摘されている。

 研究では、健康に関するSDGsの目標33項目と照らし合わせて、その達成度を測定。達成度が高かったのは、欧州西部や北米、アジアの一部などの国々とオーストラリアで、達成度が低かった国の大半はアフリカに集中していた。最も達成度が高かったのはアイスランドで、シンガポールとスウェーデンがそれに続いた。

 米国は全体の28位で「どちらかといえば低い」順位となった。その理由については、「暴力行為やHIV感染、アルコールの過剰摂取、幼少期の過体重、自殺などによる死が主に影響している」と説明された。また医療保険の利用や質に大きな差がある米国の状況を反映したかたちで、妊婦や子ども、新生児の死亡率が、その他の高所得国との比較で高かったことも明らかになっている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux