【9月17日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は16日、露ハッカー集団にリークされた世界反ドーピング機関(WADA)の機密情報について、医療上の例外措置として選手に禁止薬物の使用を認めることは「多くの疑問点」があるという見解を示した。

 露メディアは、中央アジア・キルギスで行われている独立国家共同体(CIS)の首脳会議に出席しているプーチン大統領が、「ハッカー集団の行為は容認できないが、国際社会や特にスポーツ社会への興味を抱かずにはいられない。多く疑問点がある」とコメントしたと伝えている。

 WADAは先日、チーム・ツァーリ(Tsar Team)やAPT28、ファンシー・ベアーズ(Fancy Bears)などの名で知られるロシアのハッカー組織が、同機関の反ドーピング管理監督システム(ADAMS)と呼ばれるデータベースに不正侵入したと公表した。

 ハッカー集団は、リオデジャネイロ五輪の体操女子で金メダル4個を獲得したシモーネ・バイルス(Simone Biles)や、女子テニスのセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams)とヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams)ら米国のスター選手の情報を盗み出したとされている。

 プーチン大統領は、「健康な選手」が禁止薬物の使用を許可される一方で、ロシア代表チームが「何らかの薬物を摂取した疑いがある」として、リオデジャネイロ・パラリンピックから排除されたことについて強く批判している。政府主導によるドーピングが発覚したロシアは、陸上選手がリオ五輪への出場を全面的に禁止され、パラリンピックでは全選手が排除された。

 ハッキングの被害を報告したWADAは、この行為は同機関への報復であるとの見解を示すと、ロシア政府に対してコンピューターシステムへの不正アクセス阻止に協力を求めた。露大統領府(クレムリン、Kremlin)はこの要請に応じる意向を表明したが、ハッキングへの関与は否定している。(c)AFP