両腕なきアーチェリー選手、目指すは「世界一の射手」
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■ひげもそれる、運転もできる驚異の足
スタッツマンは、どのようにして腕も手もなしで矢を放つかインターネットで検索したが、何も見つからなかったという。しかし、彼はそのよく発達した足で、ひげをそったり、ものを書く、さらには足だけで運転することまでできる。
「私には何でもできると思います。たまに時間がかかるときもありますが。片方の靴ひもを結ぶこともできる。普通は30秒でできるところ、私には2分くらいかかりますが、それでもできます」
座った状態で弓を右足で支え、脚を伸ばすことで弓を引く。矢をつがえる弦は、矢を放つまで体に固定されている。
スタッツマンは過去7年間で驚異的な進化を成し遂げてきた。
「初めて大会に出た時、その場にいた女性に『他の両腕のない射手はどこですか?』と尋ねました。そうしたら、『どういう意味ですか?』と聞き返されたんです。私しかやっていないなんて知りませんでした」と、競技を始めた当時のことを振り返る。
2012年のロンドン・パラリンピックでは銀メダルを獲得し、昨年は283.47メートル先の的を射て「最も長い距離の的を射抜いた」としてギネス世界記録に認定された。
成功したことで生計を立てられるようになっただけでなく、彼自身が有名人にもなった。まばらに席が埋まったリオ・パラリンピックのアーチェリー会場でも、温かい拍手で迎え入れられた。
スタッツマンは、「レブロン(米バスケットボールのスーパースター、レブロン・ジェームズ〈LeBron James〉)までとはいわないけれど、不自由なく暮らしています。もうストレスはないです」と話す。
「とにかく世界一の射手になりたいです。相手が誰だとか、障害があるかなんて関係ないです」
(c)AFP/Javier TOVAR