【9月16日 AFP】米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏が14日、水道水の鉛汚染が問題となったミシガン(Michigan)州フリント(Flint)を視察した際、教会で行った演説でライバルの民主党候補ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前国務長官の批判を始めたところ、牧師に話をさえぎられる一幕があった。トランプ氏は5日、この牧師について「過敏で混乱した状態」だったと評した。

 トランプ氏のフリント市訪問には、公衆衛生を脅かす重大な問題に同市がどのように対処したかを視察する目的があった。しかし、黒人信者が大半を占めるベセル合同メソジスト教会(Bethel United Methodist Church)に到着したトランプ氏は、演説を始めるやクリントン氏を攻撃。「ヒラリーは経済で失敗した。その前には外交でも失敗している」などと批判を始めた。

 すると、同教会のフェイス・グリーン・ティモンズ(Faith Green Timmons)牧師が、両手を合わせて握り込むしぐさをしながら演説に割って入った。

「ミスター・トランプ、あなたをここにお招きしたのは、私たちがフリントで行ってきた活動を称賛していただくためです。政治演説を聞くためではありません」と、ティモンズ牧師は小声でトランプ氏を諭した。

 トランプ氏は少々うろたえた様子で「ああ、そうかそうか、分かりました」と答え、フリント市の現状へと話題を変えた。

 だが、15日に米テレビ局FOXニュース(Fox News)の番組に出演したトランプ氏は、この一幕について、ティモンズ牧師から紹介を受けたとき「何かスイッチが入った」と説明。さらに「皆それぞれの思惑があって行動する。私は気にしないがね」「彼女(ティモンズ牧師)はひどく神経質になっていて、とにかく混乱しているようだった」などと述べ、ティモンズ牧師が政治的な動機からトランプ氏の演説をさえぎった可能性を疑っていることをにおわせた。(c)AFP