【9月15日 AFP】フィリピン議会で15日、同国のロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領がダバオ(Davao)市長時代に法務省職員を射殺し、反対派らの殺害を命じたと、暗殺部隊の元隊員が証言した。

 暗殺者を自称する男性は上院の公聴会で証言し、男性と警察官の一団、そして元共産主義者の反政府勢力が、ドゥテルテ氏の命令で25年間で約1000人を殺害したと語った。生きたままワニの餌になった犠牲者もいるという。

 犠牲者の多くは、首を絞められたり、燃やされたり、バラバラにされたりした後、暗殺部隊の一員だった警察官が所有する採石場に埋められた。また、海に遺棄されて魚の餌になった人々も複数いたという。

 証言をしたのはエドガー・マトバト(Edgar Matobato)氏(57)。マトバト氏によると、1993年、当時ダバオ市長だったドゥテルテ氏は、法務省の職員との銃撃戦があった現場に現れ、負傷し銃弾の尽きた職員をサブマシンガンで撃って殺害したという。

「われわれ(暗殺部隊)の任務は犯罪者やレイプ犯、麻薬密売人、ひったくり犯らを殺害することだった。ほぼ毎日、人を殺していた」とマトバト氏は話した。「ダバオの市民はニワトリのように殺処分されていた」とマトバト氏は述べ、1988年から2013年にかけて、犯罪容疑者とドゥテルテ一族に敵対する人々も殺害したと語った。

 当時の人権委員会の委員長レイラ・デリマ(Leila de Lima)上院議員によると、マトバト氏は2009年に捜査当局に自首し、最近まで証人保護プログラムの対象となっていた。上院は、ドゥテルテ大統領による犯罪取り締まりにおいて行われているとされる、司法手続きを踏まない殺害について調査をしている。警察当局によると、ドゥテルテ氏の大統領就任から72日間に、3140人が死亡した。

 ドゥテルテ大統領の報道官は、この疑惑については過去に調査済みで、訴追は行われなかったと述べている。また、同大統領の息子のパオロ・ドゥテルテ(Paolo Duterte)氏は公聴会での証言について「狂人」による「単なるうわさ話」に過ぎないと語った。(c)AFP