【9月16日 AFP】リオデジャネイロ・パラリンピック競泳男子の南アフリカ代表アクマット・ハッシム(Achmat Hassiem、34)は、レースに臨む際、サメが背後にいると想像することで自分を奮い立たせている。10年前に自分の片脚の半分を食いちぎったあのサメだ。

 南アフリカ・ケープタウン(Cape Town)沖でライフガードの訓練に参加していた際にホオジロザメに襲われてから、ハッシムの運命はサメとは切っても切れない関係だ。事故ではサメに命を奪われかけた。だが、その時のけがに駆り立てられリオ・パラリンピックに出場した。

 ロンドン・パラリンピックでは銅メダルを獲得したハッシムは、3回目にして最後のパラリンピック出場となるリオでの競技を終え、来週から新たなキャリアをスタートさせる。世界中を巡ってサメを乱獲から保護する活動を始めるのだ。

「私のニックネームは『シャークボーイ』なんです」と、13日に100メートル自由形のレースを終えた直後にハッシムはAFPに語った。

 南アフリカの国旗の色が施された義肢を外し、淡いブルーのプールに入ると、ハッシムは人生最後の泳ぎになりかけた時のことを思い返す。

「実際、レースではその時の恐怖を利用する」「4.7メートルのホオジロザメが、自分がトップに立つよう追い立てているのを想像するんです」とハッシムは語った。