【9月15日 AFP】米国など13か国は14日、水産資源の枯渇をもたらす有害な漁業補助金の廃止に向けて、世界貿易機関(WTO)で交渉を開始すると発表した。対象として想定している国名は挙げていないが、環境保護団体からは中国の燃料補助金が過剰な漁獲につながっているとの指摘が出ている。

 13か国は消費する海産物の9割超を輸入に頼る米国のほか、オーストラリア、ノルウェー、シンガポールなどで内陸国のスイスも名を連ねている。米首都ワシントン(Washington D.C.)で海洋管理や環境保護に関する年次国際会議の開催を翌日に控えたこの日に出した共同声明で、漁業補助金に関して透明性を確保し報告を義務付けるWTO協定を取りまとめるため、協議を開始すると明らかにした。

 声明は国連食糧農業機関(FAO)の統計を引用し、世界の漁場の31%は生物学的に持続不可能な水準で漁獲が行われており、58%は持続できるのがぎりぎりの水準に達していると指摘。「こうした緊急の懸念に対処するため、有害な漁業補助金の排除を目的に行動を起こした」と説明した。具体的には、乱獲や過剰な漁獲能力、違法もしくは無規制の漁業を助長する補助金を禁止する方針だ。

 声明は漁業補助金の禁止で標的としている国に触れていないが、国際環境保護団体「グリーンピース(Greenpeace)」は中国の遠洋漁船数は米国の10倍の2500隻に上っているとし、これら中国の遠洋漁船に対する無報告の燃料補助金が過剰な漁獲能力の一因になっていると批判している。(c)AFP