【9月12日 AFP】国歌演奏の際に人種差別への抗議を行うという、選手の行動が議論を呼んでいる米アメリカンフットボール(NFL)。11日は、2001年9月11日の米同時攻撃から15年の節目で、NFLの試合でも追悼行事が行われたが、そのなかで抗議を続ける選手も各チームから何人か現れた。

 サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)のQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)が、米国歌「星条旗(The Star-Spangled Banner)」演奏時に起立を拒否したことから火がつき、賛否両論を巻き起こしている各選手の行動だが、各地でレギュラーシーズン初戦が行われたこの日も、選手たちの抗議は続けられた。

 マイアミ・ドルフィンズ(Miami Dolphins)では、4人の選手が国歌演奏中に片膝立ちになり、カンザスシティ・チーフス(Kansas City Chiefs)では、CBマーカス・ピータース(Marcus Peters)が黒い手袋をつけたこぶしを掲げた。チーフスは団結の象徴として全員が腕を組んで国歌演奏を聞いたが、右端のピータースだけは握りこぶしを突き出した姿勢を取った。

 これは、1968年メキシコ五輪の表彰式で陸上のトミー・スミス(Tommie Smith)とジョン・カーロス(John Carlos)が敢行した、黒人差別への抗議を思わせるものだった。

 一方、ドルフィンズと対戦したシアトル・シーホークス(Seattle Seahawks)は、全員が腕を組み合って国歌を聞いた。プレシーズンの試合では片膝立ちになっていたCBのジェレミー・レーン(Jeremy Lane)も、今回は仲間に合わせた。

 ニューヨーク(New York)、首都ワシントン(Washington D.C.)、ペンシルベニア(Pennsylvania)が被害に遭った米同時攻撃から15年の節目となったこの日は、NFLの各スタジアムで試合前に式典が行われ、選手が消防士や軍関係者とともに犠牲者を悼んだ。会場ではバラク・オバマ(Barack Obama)大統領、当時の大統領だったジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)氏からの映像メッセージも流れた。

 キャパニックが所属するフォーティナイナーズは、12日のロサンゼルス・ラムズ(Los Angeles Rams)戦でシーズン開幕を迎える。キャパニックは起立を拒否した意図について、主に白人警官による黒人の銃撃が相次ぐなかで、米国に残る人種差別と、警察の非道な行いに抗議したかったからだと説明している。(c)AFP/Jim SLATER