【9月13日 AFP】姿の見えない相手と戦うことは、悪夢のように恐ろしいように思える。だがリオデジャネイロ・パラリンピックの柔道で銅メダルを獲得した盲目の米代表、クリステラ・ガルシア(Christella Garcia)選手(37)は、それは「素晴らしいこと」だと言う。

 リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)で10日、女子70キロ超級の3位決定戦でブラジルのデアンネ・アルメイダ(Deanne Almeida)選手を破った直後にAFPの取材に応じたガルシア選手。その理由を以下のように語った。

 生まれた時からほとんど目が見えなかったガルシア選手だが、ひとたびマットの上に立ち、相手と対峙(たいじ)して技をかけ合うときは、目が不自由であることは全く関係なくなるとしながら、「組み合うと相手の体や動きを感じる。気持ちの強い方が勝つんです」と述べた。

 パラリンピックで行われる柔道は視覚障害者が対象の競技だ。わずかな光を感じることができる弱視の選手もいれば、ガルシア選手のように全盲の選手もいる。健常者の競技とのルールの違いは驚くほど少ない。

 試合中に選手が場外に出てしまった場合は主審が場内に誘導したり、時計が見えない選手のために試合終了1分前にブザーが鳴ったりという違いはあるが、それ以外は選手に視覚障害があることを忘れてしまうほど試合は激しい技の応酬となる。