■代わりの「目」の助けも借りながら

 片手にカメラ、片手に杖を携え、マイアはパラリンピックの会場に姿を現し、ほかのスポーツカメラマンの輪に加わる。

 スポーツ写真の撮影は昨年行われたリオデジャネイロ五輪のプレ大会で経験済みだが、そのときは観客が少なかったので、音を聴くことに全神経を集中できた。今回のパラリンピックで、マイアは当初、陸上のトラック競技を撮影しようと思っていたのだが、コースの大きさや長さの問題で、撮影は困難だと悟った。

「一定の距離まで近づくことができれば、選手の鼓動や、足音を感じることができます。そしてそれを頼りに撮影の態勢に入れる。ですが騒音と距離があると、難しいのがわかりました」

 写真を真剣に学び始めた2008年には、昔ながらのカメラを使っていたマイアだが、現在の相棒は最新世代のスマートフォン。彼によれば、スマートフォンのほうが断然フォーカスが合いやすいのだという。

 代わりの「目」と呼ぶ人たちの助けも欠かせない。その2人、レオナルド・エロイコ(Leonardo Eroico)とリカルド・ロハス(Ricardo Rojas)は、携帯電話のカメラを使ったアート写真をPRする組織、「モブグラフィア(Mobgrafia)」のメンバーで、マイアともう一人、車いすの写真家が、このモブグラフィアの勧めでパラリンピックの写真集を制作している。

「2人がいなかったら何もできません。例えば編集。これは僕には絶対にできません。それに、ソーシャルネットワークに写真をアップしてくれるのも2人です」とマイアは話す。