【9月10日 AFP】ナチス・ドイツ(Nazi)のアウシュビッツ・ビルケナウ(Auschwitz-Birkenau)強制収容所に送られた子どもの持ち物だったとみられるミッキーマウス(Mickey Mouse)の磁器の置物が70年以上たって見つかった。地元の財団が9日、AFPに明らかにした。

「アウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所近隣の記憶の場財団(Foundation of Memory Sites near Auschwitz-Birkenau)」を運営しているアグニエシュカ・モレンダ(Agnieszka Molenda)氏は、「収容所でガス室に送られて死亡したであろう子どもを想起させる悲しい置き土産です」と語った。

 地元の歴史を残そうと個人収集家らが2013年に設立した同財団は、敷地面積計約40平方キロのアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所と隣接施設に関連した品物を収集し、一般市民が戦後自宅で保管してきた品々を多数集めてきた。

 この磁器は、地元で農業を営んでいた男性が戦後、収容所から1キロ以上離れたウィスワ(Vistula)川の土手で見つけて保管していたもので、最近になって男性の孫娘が財団に寄贈したものだという。

 専門家によれば、この磁器はディズニー(Disney)の承諾を得ずに1930年代にドイツで製造され、1929年から1932年にかけて国内で販売され、欧州各国にも大量に輸出されていた商品で、モレンダ氏は「もはや持ち主が誰だったのか突き止めることはできないでしょう」と述べた。

 ナチスが1940年から1945年まで占領していたポーランドで設立、運営していたアウシュビッツ・ビルケナウ強制収容所では100万人の欧州系ユダヤ人が命を落とした。同収容所の犠牲者のうち推定23万2000人が子どもだったとされる。(c)AFP