【9月10日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)は9日、男子シングルス準決勝が行われ、試合はブーイング、ユニホームの引き裂き、コーラの要求、そして思わぬ流れの変化が起きるなど、予想外の展開があったが、大会第1シードのノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)が6-3、6-2、3-6、6-2で第10シードのガエル・モンフィス(Gael Monfils、フランス)を破り、自身通算7度目の決勝に進出した。

 大会連覇を目指す世界ランク1位のジョコビッチは、今季の四大大会(グランドスラム)で3度目、キャリアでは通算13回目となるグランドスラム制覇がかかる決勝で、第3シードのスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)と第6シードの錦織圭(Kei Nishikori)の勝者と対戦する。ジョコビッチは対ワウリンカ戦の通算成績を19勝4敗、錦織戦の成績を通算10勝2敗としている。

 しかし、ジョコビッチが対モンフィス戦の連勝記録を13に伸ばしたこの日の一戦は、グランドスラムで行われた奇妙な試合の一つとして、記憶に残るかもしれない。なかでも最も物議を醸したのは、モンフィスが無気力なプレーをみせた場面だった。

 試合後の会見で「くそったれ。俺は勝負に徹している」と激怒したモンフィスは、「みんながこのプレーをしないのは、不自然ではないかという質問を受けるからだ。最初の質問は、自分が戦っていないように見えるということになる。相手が絶好調でその勢いを変えるには、常識に反したプレーをみせることだ」と反論した。

 一方、2011年大会と2015大会を制しているジョコビッチは、湿度が60パーセントにも上るコンディションのなか、第4セットでのメディカルタイムアウトを含めて両肩の治療を必要としていた。

 さらには、モンフィスが体力を回復させるためにコーラの配達を要求したり、第3セットを落としたジョコビッチが、映画『インクレディブル・ハルク(The Incredible Hulk)』さながらにユニホームを引き裂いたりする場面もあった。

 そうした珍場面が続出したこの試合で、モンフィスは52本のアンフォーストエラーを記録する一方、合計20回遭遇したブレークのピンチを12回もしのぐ粘りもみせた。

 29歳のジョコビッチは、試合のポイントを聞かれると「湿度だ」と回答し、「そのことばかり考えていたし、最後の2セットは特にそう感じていた。今大会のこれまでの試合とはコンディションがまるで違っていた」と語った。

「試合の行方を左右する重要な場面では、ベースラインでの打ち合いが多かった。ガエルは今大会でも最高の選手の一人で、とてもフレキシブルだ」

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