【9月9日 AFP】代表作「グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)」で1920年代アメリカのジャズ・エイジ(Jazz Age)における「過剰さ」を描いた米小説家、F・スコット・フィッツジェラルド(F. Scott Fitzgerald)の最後の作品となった未発表小説が、執筆から80年を経て来年4月に出版される運びとなった。

 遺作となったこの小説は短編集「I'd Die for You」。米出版大手サイモン&シュスター(Simon & Schuster)のブランド「スクリブナー(Scribner)」から出版される。執筆された1930年代当時は内容が物議を醸しすぎるとみなされ出版が見送られていた。

 フィッツジェラルドは自身が描いた小説の主人公のように短く悲劇的な人生を送った。妻のゼルダは精神疾患を患い、自らも長年アルコール依存症に苦しんだ末、1940年に44歳の若さで死去した。 晩年には短編小説を数編執筆して何度か大手出版社に送っているが、そのたびに当時としては内容が挑発的過ぎるとの理由で送り返されている。

 スクリブナーのウェブサイトは「フィッツジェラルドは、同時代の編集者の手で内容を変えられたり浄化されたりすることを容認するより、自作を未発表のままにしておくことを選んだ。生活にかなり困窮していた時でさえもだ」と説明している。

 1925年に出版された「グレート・ギャツビー」はT・S・エリオット(T.S. Eliot)やウィラ・キャザー(Willa Cather)といった同時代の作家たちからは賞賛されたが、売上部数では前作「楽園のこちら側(This Side of Paradise)」や「美しく呪われし者(The Beautiful and the Damned)」に及ばなかった。「グレート・ギャツビー」が再び絶大な人気を得るのはフィッツジェラルド死後のことだ。(c)AFP