【9月9日 AFP】ドイツ南部バイエルン(Bavaria)州を支持基盤とする保守政党、キリスト教社会同盟(CSU)が、移民政策を厳格化して欧州の「西洋キリスト教文化圏」からの移民を有利にする政策を打ち出し、批判を受けている。CSUはアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相が党首を務めるキリスト教民主同盟(CDU)の姉妹政党。

 CSUは党の政策文書のなかで、イスラム教徒の女性が着用する顔を覆うベールの禁止、二重国籍の廃止、新着移民に対する地域社会との融合とドイツ語学習の義務付け、亡命希望者受け入れの上限を年間20万人とすることなどを求める方針を示した。

 CSUは欧州連合(EU)最大の経済大国として昨年1年間に亡命希望者100万人を受け入れたメルケル首相の進歩的な姿勢を痛烈に批判してきた。移民政策案を含む政策文書は9日から2日間の日程で始まるCSUの党の会合で発表される予定だが、これに先立ちドイツ国内で広く報道され、AFPも内容を確認した。

 1年後に総選挙が行われるとみられているなか、ドイツ北東部メクレンブルク・フォアポンメルン(Mecklenburg-Western Pomerania)州で4日に投開票された州議会選挙では、反移民を掲げる右派ポピュリスト政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が得票率でメルケル首相のCDUを上回った。長期にわたって高い水準にあったメルケル首相の支持率は、寛容な移民対応をめぐって急落した。

 メクレンブルク・フォアポンメルン州での選挙結果を受け、メルケル首相は7日、AfDの反イスラムの主張に抵抗するよう全政党に呼び掛けた。それにもかかわらず、カトリック教徒が多く保守的な南部バイエルン州を基盤とするCSUは5ページの政策文書のなかで「ドイツはドイツのままであるべきだ」「移民や難民を大量に受け入れて国が変化することに反対する」などとしている。(c)AFP/Frank ZELLER