【9月8日 AFP】史上最悪の原発事故を起こしたチェルノブイリ(Chernobyl)原発の敷地に、世界最大級の太陽光発電所をつくる──。ウクライナのオスタプ・セメラク(Ostap Semerak)環境相が描くこの壮大な構想は、すでに欧州復興開発銀行(EBRD)をはじめとする名だたる投資家からも賛同を集めている。

 旧ソ連時代の1986年4月に現ウクライナ北部のチェルノブイリ原発で起きた大惨事は、多くの人を死の淵に追いやったうえ、放射性物質に汚染された無人地帯を生み出した。今では周辺に暮らすのは、自宅から離れたがらない高齢者数百人だけだ。

 原発から30キロ圏内の立ち入り禁止区域、いわゆる「ゾーン」は多くが森林におおわれており、高濃度の汚染のために地元産の食べ物は人体に危険とされている。

 しかしウクライナ当局は、一帯にある6000ヘクタールの開けた土地に太陽光パネルを敷き詰めれば、事故を起こした4号炉が稼働していた当時の発電量に匹敵する電力を生産できるとみている。

 EBRDはこれまでに、第1段階の実現に必要な10億ドル(約1000億円)をウクライナが調達できれば事業を支援する意向を示している。(c)AFP/Oleksandr SAVOCHENKO