水温上昇の海は「不健全」 世界自然保護会議で警告
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■微生物からクジラまで
今回の研究は、深海を含むすべての大規模な海洋生態系を対象としており、微生物からクジラまでのあらゆる生物を網羅している。
報告書には、クラゲ、海鳥、プランクトンなどが、水温の低い極方向に、緯度にして最大10度移動している証拠が記録されている。
この海洋環境での移動についてラフォリー氏は「進行速度が、地上で現在みられる移動の1.5~5倍も速い」と説明し、「人類は、海の季節を変えている」と続けた。
さらに、熱による海水温度の上昇は、微生物が海洋の生息範囲をさらに拡大することを意味している。
報告書によると、海洋の温暖化が「植物と動物の個体群で、病気の増加を引き起こしている」証拠が、今回の研究では挙げられているという。
コレラ菌などの病原菌や、シガテラ中毒などの神経障害を引き起こす恐れのある有害藻類ブルームなどは、温暖な海域の方がより容易に拡散し、人の健康に直接的な影響を及ぼす。
海水温の上昇はさらに、サンゴ礁をかつてないペースで危機的状況へと追い込み、魚の生息環境を消失させていることで、魚種の減少を招いている。
これらの事態を受け、IUCNの「世界海洋・極地プログラム(Global Marine and Polar Program)」を統括するカール・グスタフ・ルンディン(Carl Gustaf Lundin)氏は、「温室効果ガスの削減が不可欠だ」と強調した。
「この事態は人間が引き起こしていると、きっと誰もが考えているはずだ」と述べるルンディン氏。そして、「解決策が何であるかは分かっている。それを早急に実行に移す必要がある」と続けた。(c)AFP/Kerry SHERIDAN