【9月9日 AFP】「ブレード・ジャンパー」の異名で知られるマルクス・レーム(Markus Rehm、ドイツ)は、リオデジャネイロ・パラリンピックの陸上男子走り幅跳び(T44クラス)で大会2連覇に挑む。

 レームは13歳の時に家族との休暇先でウェークボードをしていた際、近くを通ったボートのスクリューに右脚を巻き込まれた結果炎症が残り、事故の3日後に同箇所の切断を余儀なくされた。

 先月行われたリオデジャネイロ五輪に健常者の選手とともに出場する可能性があったレームだが、使用する義足が同選手に有利に働いているのではないかと疑問を呈され、7月には五輪出場を断念した。

 2015年10月にドーハ(Doha)で記録した8メートル40の自己ベストを持つレームは、2012年のロンドン五輪金メダリストで、リオ五輪では8メートル38を記録して2連覇を果たしたジェフ・ヘンダーソン(Jeff Henderson、米国)を抑えて優勝する可能性もあった。

 国際陸上連盟(IAAF)は、同選手が着用するカーボン素材の義足が、踏み切り動作に際して跳躍に有利な力を生み出していないことを証明するまでは、同選手の出場は認められないとの判断を下していた。

 2013年にオランダで行われた大会では健常者とともに競技し、7メートル44のジャンプを記録。8メートル24を出したロンドン五輪金メダリストのグレッグ・ラザフォード(Greg Rutherford)に敗れたが、レバークーゼン(Leverkusen)でトレーニングに励むレームは、それ以来劇的に進化しているという。現在は、ドイツ軍に勤務し、戦場で戦うことはできないため、義足の製造に携わっている。

 4年前に出場したロンドン大会では男子走り幅跳び(T44)で当時の世界記録7メートル35で金メダルを獲得しただけでなく、男子4×100メートルリレーでも銅メダルにも輝いている。また、2011年からはIPC陸上競技世界選手権(IPC Athletics World Championships )の男子走り幅跳び(T44)で3連覇を果たしており、他のライバル選手たちには1メートル以上の差をつけていた。

 前回リオデジャネイロ(Rio de Janeiro)を訪れた際、レームは自己ベストの記録について、「(ドーハでの)そのジャンプが私を大きく変化させたし、多くの人々にわれわれパラリンピアンが素晴らしいアスリートであることを示した」と語り、「リオデジャネイロ・パラリンピックで本当に良い結果を残すため、そして自分の世界記録に近い記録や、あわよくばそれを上回るジャンプをするため、自分を限界まで追い込んでいる」と抱負を語っている。(c)AFP