【9月5日 AFP】(更新、写真追加)香港(Hong Kong)で4日に投票が行われた立法会(議会、定数70)選挙は5日、開票作業を終え、中国からの独立を訴える急進派「本土派」の3人が初当選を果たした。本土派を含む民主派勢力は改選前より3議席多い30議席を獲得、重要な法案を否決できる3分の1超を維持した。

 今回の立法会選は選挙制度の民主化を求めた2014年の大規模デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」以降、香港で最大の選挙となり、投票は時間を延長して5日未明まで行われた。およそ220万人が投票し、投票率は2012年の前回選挙を5ポイント上回る58%と過去最高を記録した。

 警察から教育、メディアまで、香港のあらゆる分野で中国政府が締め付けを強化しているとの懸念が広がる中、香港こそ「本土(故郷)」と考え、中国からの独立志向が強い若者主体の本土派の複数の新政党から、活動家出身者が初めて出馬した。

 このうち3人が歴史的な当選を果たした。うち一人は雨傘運動の学生指導者だった羅冠聡(ネイサン・ロー、Nathan Law)氏(23)。選挙区で親中派の候補者に次ぐ得票で議席を獲得した。

 羅氏らが結成した新政党「香港衆志(デモシスト、Demosisto)」は、香港の自決権を主張し、中国からの独立を問う住民投票の実施を要求している。羅氏は「香港人は心から変化を求めたのだと思う。若者は未来に関して緊迫感を持っている」と自身の勝因を分析した。

 民主派の政治家の主流は独立を擁護しておらず、民主派陣営からは急進派の台頭で票が割れ、全体として勢力を減らしかねないと懸念する声も上がっていた。しかし、結果は独立派と合わせて30議席を獲得、改選前の27議席から積み増した。

 ただ、親中派が40議席を得て過半数を維持した。立法会は制度上、民主派勢力が過半数を握るのはほぼ不可能となっている。(c)AFP/Aaron TAM