【9月4日 AFP】全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2016)は3日、男子シングルス3回戦が行われ、大会第14シードのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)はイリヤ・マルチェンコ(Illya Marchenko、ウクライナ)に6-4、4-6、1-6とされたところで臀部(でんぶ)の痛みを訴え、途中棄権した。

 第2セットを落としたあと、メディカルタイムアウトを要求したキリオスは、その後も数回トレーナーと話す姿があったが、第3セットが終了した時点でコート上で十分に動けないとして苦渋の決断を下した。

 自身初となる全米オープン16強入りを逃したキリオスは試合後、「タフな結果だ。途中棄権はしたくないし、多分これが(途中棄権するのは)2回目か3回目だと思う。もちろん簡単ではない。自分の試合には状態が良くない時でも勝つことができるという確信を積み上げてきていた」と語った。

 また問題となった臀部の状態については、「公正を期すためにいうが、1回戦と2回戦でも悩まされていた状況の中、勝ち抜くことができた。時間の問題だったのかなとも思う。専属の理学療法士に1週間助けてもらってきたし、治そうと努力もしてきた」と説明した上で、「こういったことが行らないように、もっと時間を費やすべきだったし、ジムなどで厳しくトレーニングに励まなくてはならなかった」と嘆いた。

 先月行われたリオデジャネイロ五輪を母国オーストラリアの関係者との不和が原因で出場辞退したキリオスは、今大会期間中もツイッター(Twitter)上でツアー選手が大麻を使用していることを暗示するような発言をするなど物議を醸していた。

 この試合に勝利した世界ランキング68位のマルチェンコは4回戦で、第3シードのスタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)と対戦することが決定。ワウリンカは同日行われた試合で、マッチポイントをしのぐなどフルセットにわたった試合を4-6、6-3、6-7(6-8)、7-6(10-8)、6-2で制している。

 28歳にして自身初となる四大大会(グランドスラム)ベスト16入りを果たしたマルチェンコは、今大会開幕まではグランドスラムで1度も2回戦以上に進出した経験がなかった。また今季も、トルコ・イスタンブール(Istanbul)で行なわれた大会を最後に、ツアーレベルでは勝利から遠ざかっており、3月のBNPパリバ・オープン(BNP Paribas Open 2016)でワウリンカと対戦した際もストレートで完敗していた。

 その時のことをマルチェンコは、「完全に叩きのめされ、(ワウリンカは)全ての側面で私より勝っていた」と振り返り、もし5日に行われる試合でワウリンカに勝ったとしても、テニスが母国ウクライナで大人気になるとは考えていないという。

 母国でテニスはあまり人気ではないと説明するマルチェンコは、「でも今日練習に行ったら観客席が満席だったんだ。まあ、もちろん私を見に来たわけではなくて、隣のコートで練習していたノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)目当てだったのさ」と冗談を飛ばし、「テレビでもテニスは放映されていない。ご存知のように、私たちの国は他の問題を多く抱えているんだ。今はスポーツに注目するような時期ではないんだ」と自国の現状を嘆いた。(c)AFP/Dave JAMES