■「解明のチャンス」

 チューリヒ大学は発表した声明で、1年間治療を続けた結果「最高用量を投与した患者では、検出可能なベータアミロイド斑が実質的に皆無だった」と述べている。

 今回の臨床試験は、薬剤の有効性を調べることが目的ではなかったが、治療を施した患者で、症状の発現がより緩やかになる現象を、研究チームは確認した。

 これは、アミロイド斑が実際にアルツハイマー病の原因となっているとする仮説を裏付けていると研究チームは指摘しているが、この仮説を最終的に証明するには、さらに検証を重ねる必要がある。

 米アリゾナ(Arizona)州にあるバナー・アルツハイマー病研究所(Banner Alzheimer's Institute)のエリック・レイマン(Eric Reiman)氏は「実際に、抗アミロイドベータ治療法が認知力低下の進行を減速することが立証されれば、アルツハイマー病をどのように理解、治療、予防するかに大変革をもたらすだろう」とコメントし、「今こそ、解明のチャンス」と意気込んだ。

 アデュカヌマブをめぐっては、脳への水分蓄積や頭痛などの副作用が確認されている。(c)AFP/Mariëtte Le Roux