「血の復讐」におびえる子どもたち アルバニア、中世の慣習今も
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【9月1日 AFP】生活は苦しく、学校に通えないことも多い。そして日々、誰かに殺される恐怖にさらされている。東欧のアルバニアで、血の復讐の掟「ジャクマリャ(Gjakmarrja)」が残る世界に生きる子どもたちの日常だ。
ジャクマリャは、ある一族の人が殺されれば、殺した相手の一族の男性を復讐として殺せると定めたもので、歴史は中世にさかのぼる。アルバニア北部の山岳地帯では現在でも慣習として存続し、武器を持てる年齢の男性なら一族の誰一人としてこの掟から逃れられない。
AFPは、この血讐の犠牲になるのではとおびえながら毎日を暮らす子ども数人に話を聞いた。これらの男の子たちは、首都ティラナ(Tirana)から北に90キロほどのところにあり、モンテネグロとの国境に近いシュコドラ(Shkodra)町の近郊に住んでいる。
クレビス君(13)は医者になるのが夢で、弟のアルバート君(11)は将来、法務大臣になりたいという。マルセル君(13)は歌手、タウラント君(仮名、13)はサッカー選手になるのが夢だ。
だが、彼らはそうした大志を抱いていても、学校に通うこともできなければサッカークラブに所属することもできず、音楽を習いに行くこともかなわない。
クレビス君、アルバート君の兄弟と、マルセル君は同じ一族の出身。「ジャクス」と呼ばれる暗殺者に殺されないように、質素な家に身を隠して生活することを余儀なくされている。
その理由は、親戚の男が2000年に、争いになった相手を殺害してしまったからだ。そのため彼らは、明日にでも襲撃に遭う恐れがあるのだという。
「僕たちの一族は血まみれなんだ」。血で血を洗う報復と死の連鎖にとらわれた生活をクレビス君はそんな風に表現した。